その『中級へ行こう』も佳境に入っているクラスで、今日は復習の時間を担当しました。
復習の時間というのは、学習者が忘れているところを「もう一度説明してください」と言われることが想定されるので、全部の項目を理解していないといけないのですよね。予習量も増えるので、準備は大変です。
しかし、さすがに10年も日本語教師をやっていると、経験値というか、知っていることが増えるので、きちんとつめて予習しなくても、違いの説明のポイントを知っていることが増えてきます。
要は、どの国の学習者でも、どんな学習者でも、わかりにくいポイントは同じということなのでしょう。
今日は「あいだ・あいだに・うちに」の違いをもう一度説明してください、と言われ「よしよし、任せなさい」とばかりに偉そうに説明してきました。
「あいだ」と「あいだに」の違いは、わたしが心から尊敬する佐々木瑞枝先生(著書を拝読しているだけですが、心の師と呼んでいます)のご著書の中で、大変簡潔にわかりやすくご説明されていたので、「あ!そうなんだ!」すっと入ったので、ずっと印象に残っているのです。
授業のあいだ、○さんはずっと寝ている。
授業のあいだに、○さんはトイレへ行った。
これ、実際の学生の名前を使って例文を言っただけで、クラスの全員が「ああ」と言っていました。
はっきりではないものの、例文だけで何となくわかったようでした。
それから、おもむろに時間軸を書いて、「授業は○時から○時まで、長い時間です。授業は長い時間。寝ている時間も長いです。そのとき『あいだ』を使います」と簡単な説明をしただけで、勘のいい学習者が「じゃあ、『あいだに』は短い時間ですか」と言ってくれました。
そこから、「あいだ」と「あいだに」の例文をいくつか出していき、その仮説が正しいかどうか検証。納得してくれました。
「うちに」は、ちょっと毛色が違うと思ったので、別立てで説明。
定番の「晴れているうちに洗濯しよう」から、「日本にいるうちに東京タワーへ行きたい」や、ちょっとジョークを交えて「先生が来ないうちに友達の宿題をコピーしてしまおう」など、「今はできる。でもそれが終わったらできない。だから今する」というニュアンスが出る例文をこれでもかと出しました。
そうしたら、一人の女子学生が「先生!わたしは若いうちにたくさん遊びます!」と発言。
理解がアウトプットにまで達したと、大変感激しました。
最近養成講座の方でも受講生の方々に言っているのですが、説明するのではなく、気づきを与えるのって大切なんだなあと、改めて感じています。そのためには例文を作る力が必要になるのですね。
何だか、当たり前のことを、再確認させてくれたいい授業でした。